「なんか、ハワイって私の終着駅だと思うの。」

時間は夜の11時30分。

アラモワナセンターの近くの日本人が多く集まる居酒屋「和」で
明美(36歳 仮名)が吐きだしたセリフは
なんだか彼女の生きた時代を感じさせるものだった。
izakaya


先月より語学学校に通っているらしい明美は、
まだ日本人ぽい服装とちょっと焼けた肌がアンバランスな印象。

1ヶ月ハワイ生活も経ち、日本語がしゃべれる安心感と疲れが出たのか、
少々酔っぱらっているようだ。

「そりゃ、英語もしゃべりたいようになりたいわよ。勿論。
そのために会社もやめて、両親を説得して来たの。

でもね、絶対結婚がしたいのよ、私はハワイで。だから半分勉強で
半分婚活なの。」

誰にともなく、彼女は再び喋り始めた。

他の3人はできたばかりのアラモワナの代わり映えのなさの話しで盛り上がっている。

僕は絡みづらいなと思いながらも、どんな表情をしているのだろうと思い、
見るともなく彼女を眺めていると、
ふと目が合ってしまった。

「ねぇ、結婚の先輩として、どう思う?』


確かに僕の結婚と離婚についてさっきまで聞かれていたのだ。

「うーん、そりゃこっちで結婚できればラッキーだよね。
ビザもいらないし、グリーンカード取れるし。」

と冷めきった感じで即答した。
悲しいかな、一番嫌いなタイプなのだ。

ハワイに何しにきたのかよくわからない、(結婚と英語は日本でもできる!)
なんだか自分に同情しろ的な雰囲気だす。
ハワイらしからぬちょっとしたネガティブ感。
申し訳ないが全てがピンとこない。

想像ではこちらの言葉に、
怒るか、
どうせ男には、、
と言われるだろうと思っていた。
しかし、その期待はいい意味で裏切られた。

「やっぱそう思うか。そりゃそう言うよね。ありがとう。正直に言ってくれて。
なんも私、決めれないんだよ。自分では。わかってるの。そんなところも変えたくて、
ハワイに来たのもあるんだよね。」
と一息に喋ると、
「もう一杯だけ頼んでいい?」
と無理やりに作った笑顔で、日本式に店員に向かって手を上げたのだ。

こっちも少々お酒にやられていたのもあるかもしれない。
しかしこのリアクションに僕はちょっとやられてしまった。
受け入れる強さと素直さはあるんだなと。そして、言い過ぎてごめんとも・・・


そしてもう1つの疑問が浮かんだ。
どうして’終着駅’という言葉を彼女は選んだのだろうと。

店員が来た。
ハワイにしては珍しく深い夜になりそうである。

09