前回までのあらすじ:
ハワイで語学学校に通う明美。36歳。初対面にも関わらず
「ハワイは終着駅だと思うんだよね。」と思わせぶりなセリフを貴司に吐く。
話があると持ちかけられた貴司と明美は初めて2人きりのドライブへ。

http://www.oretachi-hawaii.com/archives/51839771.html 


指定された'ハワイアンモナーク’は
アラワイ運河沿いにあるさっぱりとしたコンドである。
これがアルーアやトランプじゃなくてよかったと
貴司は思った。
割と、一般的な感覚の人だろう。

ハワイアンモなーク
(ハワイアンモナーク)

とらんぷ
(トランプインターナショナル)

時間は9時。
1月のホノルルのこの時間はちょっとだけ
空気がピリッとしていて気持ちいい。

時間通りに着いた僕は、すぐに彼女の姿を見つけることが出来た。
スカイブルーのワンピースに、インディゴブルーのデニム。
決してスレンダーではないが、ヘルシーそうな体のラインをしている。

sky2
(ソース:http://mery.jp/156193 イメージです)

車を止めて挨拶を交わし、助手席のドアを開ける。

「ありがとう、貴司君。ちょっと失礼だけど、
こんなことが出来ると思わなかった。」

「一応、2年間こっちに住んでいるからね。恥ずかしくなくできるように
なったよ。」

座り込んだ彼女は律儀にシートベルトの位置を
細かく直しながら、言った。

「マノアフォールに行きたいんだけど、どう?
前から行きたかったんだけど、一人で行くってのもねー」
manoa falls


僕に異論は無かった。手持ち無沙汰なカフェよりも全然ましだ。

「勿論、いいよ。パワースポットだしね。
土曜日の午前中に素敵な空気を吸うのは悪くない。」

「フフフ、変な人。村上春樹かなんか意識しているの?
そんな喋り方してる主人公いなかった??」

僕はなんといっていいのかわからず、ラジオを付けた。
この115,000マイルも走っているVWは、まだまだラジオ派なのだ。

彼女は気持ち良さそうに窓から顔を出して、風を浴びている。
土曜日のこの時間は道もガラガラだ。

沈黙が嫌だった僕は切り出した。

「それで本題は何だっけ?
この前は昔の話をしようとしていたけど。」

聞こえたのか聞こえていないのか、彼女は
ゆっくりと前を向きなおし、言った。

「そう、その話。私も8年前に離婚歴があって、
それが28の時。子供はいなかったんだけど、
なかなかうまい別れ方ができなくて、もう当分結婚は
いいかなと思っていたの。
仕事にも没頭できたし。
でも、35を越えてから、なんか急に色々自信が無くなってきて。」

風に負けないためか、彼女ははっきりとしゃべった。

「で、もう一回人生考え直した時に、OL時代に来た
ハワイを思い出して、無性に来たくなったの。
このなんというか生温い空気とか、優しい笑顔とか。
安っぽいムームーとか。」

「私の悩みなんて、吹っ飛ぶかなって甘い考えもあって。
で、語学学校に入ってみたの。どう私の人生?」

どうも何もない。

車はもうマノアフォールズの駐車場だ。

こんな爽やかで奇麗なところで話す内容になるのだろうか。

Vol4に続く。