前回までのあらすじ:
ハワイで語学学校に通う明美。36歳。初対面にも関わらず
「ハワイは終着駅だと思うんだよね。」と思わせぶりなセリフを貴司に吐く。
話があると持ちかけられた貴司と明美は初めて2人きりのドライブで、
マノアフォールズへ。
http://livedoor.blogcms.jp/blog/imiloahonolulu/article/edit?id=53092372


前日の雨のせいか、マノアの緑は一層深く、キラキラ輝いていた。
manoa-green


「気持ちいーねー。
ねぇねぇ、貴司くん、見てみて。こっちの人って凄いね。
犬と一緒に登るんだね。ダッシュしてるよ。凄すぎ。ワイルド。」

彼女の足取りは軽く、
彼女の表情は飲んでいる時よりイキイキしているように見えた。

他愛も無い話しの中、滝に到着した。
しばらく岩場に座って、僕らは滝が流れるのを黙ってみていた。

滝の真下では、数人の子供がワァーワァーいいながら、水浴びをしていた。
子供が水遊びが好きなのは万国共通なのだろう。

突然、彼女は何も言わずに立ち上がり、慎重に岩場を滝に向かっておりていった。
まさかと思うと、彼女は履いていたサンダルを脱いで、足をつけ、
子供と同じように、手で掬った水をかけてきた。

水をすくう

「貴司君もおいでよ。気持ちいいよ。」

彼女はこっちに向かって手を伸ばしてきた。
彼女の手は想像以上に冷たくて、柔らかかった。

「ね、癒されるでしょ。」

僕たちは10分以上、何の会話もなく、
足湯みたいに足をつけていた。

「貴司君の足、細すぎなんだけど。毛もないし。
何かしてるの?」

彼女の目はいたずらっ子みたいだった。
フフフと笑うと、

「涼んだし、帰ろうか。ちょっとお腹すいたね。ご飯食べいこ。」

僕の中の彼女の印象は大分変わっていた。
思ったよりマイペースだけど、ナチュラルで、軽やかだった。
ただ時折見せる横顔は大人のそれだった。

僕たちは行き以上に、早足で駐車場に戻り、
ワイキキの喧噪に車を走らせた。

Vol.5に続く。